神戸・夙川の風 吹き込む香り ゆらり追憶

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川本裕司
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「まだまだ勝手に関西遺産

 「風がちがうのよ」。阪急神戸線の夙川駅近くで育った作家の故須賀敦子(1929~98)は故郷をこう表現したという。編集者に語ったとエピソードを記したのは、須賀と交友があった精神科医の中井久夫・神戸大名誉教授(86)。「松の樹脂の香りと花の匂いと風化花崗岩(かこうがん)の湿り気と微(かす)かな海の塩とを交(ま)ぜた爽やかな風」と形容した。

風が違う

 夙川駅の南北には夙川河川敷緑地の松林が続く。阪神間の風土と文学を考察する西宮芦屋研究所の蓮沼純一さん(69)は「夙川に残る松林と花崗岩の白い砂、からっとした空気は大阪とも神戸とも違う」と語る。

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 兵庫県西宮市にある須賀の実…

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