崖っぷちの非常事態、最長の大長考 井山は殲滅を狙った

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大出公二
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 初日から優勢を築き、着実にゴールに近づいていた挑戦者は、たった一手のミスであわや逆転の窮地に追い込まれた。第45期囲碁名人戦七番勝負(主催・朝日新聞社、協賛・株式会社 明治、マニフレックス)の第1局は、瞬時に流れが逆流する勝負のこわさを見せつけた。

 芝野虎丸名人(20)と井山裕太挑戦者(31)のタイトル戦は3度目。前回の今年6~7月の本因坊戦では、井山が芝野を4勝1敗で圧倒していた。

 第1局1日目、井山は本因坊戦の勢いそのままに、たちまち優位に立った。芝野は攻めの姿勢を取るも空転。2日目の午前中まで局勢は変わらず、芝野は一太刀も浴びせられずに押し切られるかと思われた。

急接近した形勢

井山棋聖の手がパタリと止まり、大長考に沈んだ。非常事態に、どう対応したのか。検討陣の様子や立会人の趙治勲名誉名人の話などから、担当記者が解説します。

 勝敗はほぼ定まったと、検討室の緩んだ空気が変わったのは2日目の午後。

 図1井山の白1が失着だった…

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この記事を書いた人
大出公二
文化部|囲碁担当
専門・関心分野
囲碁