球磨村の公務員ランナー、届いたシューズに恩返し誓う

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渋谷雄介
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 豪雨災害に見舞われた熊本県球磨村の職員、地下(ぢげ)翔太さん(32)は、復興業務にあたりながら走り続けている。かつて箱根駅伝を走った市民ランナー。祖父を亡くし、自宅は浸水したが、支援物資として届けられたシューズで練習を再開した。もう一度大会に出て、村の復興に向けて支えてくれた人に感謝を伝えられる日が来ることを信じて。

 豪雨災害から1週間ほどが過ぎた7月12日早朝、地下さんは真新しい赤と黒のランニングシューズを履いた。日課にしてきた出勤前の練習の再開だ。

 自宅は2階まで浸水し、シューズも泥だらけになったが、洗う余裕はなかった。役場では、担当の保育園関連の仕事に加え、避難所の運営や仮設住宅の入居手続きなどの業務にも追われた。「しばらく走るのは無理だ」と思っていた。

 そんな時、スポーツ用品店を営む高校の先輩が、村への支援物資としてシューズやウェアなどを送ってくれた。住民たちが持ち帰った残りに、サイズがぴったりの1足があった。

 地下さんは上武大の4年生だった2011年、箱根駅伝に出場し、最終10区を任された。役場に入った後も始業前に1時間ほど練習を続け、12年に始まった熊本城マラソンで優勝。翌年もトップでゴールし、2連覇を果たした。「ランナーとしての力を少しでも維持したい」。届いたシューズにも背中を押され、悩みながら練習を再開した。

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