第2回未婚のひとり親差別は「おかしいわよ」 ドミノは倒れた

有料記事シングルマザーと永田町

編集委員・秋山訓子
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 「みなさんこんにちは、通勤お疲れ様です。木村弥生です」

 自民党衆院議員の木村弥生は京都3区が地盤だ。決して選挙に強いわけではない。6月に国会が閉じた後は、ひたすら地元にはりついている。前任の自民党議員がスキャンダルで辞職した後、比例単独で当選していた木村は公募に応じてこの地にやってきた。初めて京都3区に立った前回の選挙は、比例復活でやっと議席に届いた。

 配偶者と死別・離別した人への所得税の控除を未婚のひとり親にも広げる――。昨年の自民党税制調査会(税調)で決まった「未婚の寡婦控除」が実現したきっかけは、この1人の女性議員からだった。

 それは、木村がまだ選挙区を持たなかった2015年の5月にさかのぼる。

今年の年末調整から、「未婚の寡婦(夫)控除」が実現します。背景には市民団体と国会議員がタッグを組んだ女性たちの取り組みがありました。彼女たちがどう動き、税調幹部や財務省がどう動かされていったのか。7回連載でお伝えします。今回は第2回です。

 14年12月の衆院選日本看護協会に勤務していた木村は、比例北関東ブロックで比例単独候補として立候補し当選した。父の勉は東京都議から衆院議員を3期務めた政治家。木村は父の秘書をしたこともあったので、政治の世界は身近だった。それでも、というよりもそれだけに、「自分が政治家になるなんて考えもしなかった」と振り返る。

 そんな木村は、個性派ぞろいの自民党の女性議員の中では「普通」度が高いと言えるかもしれない。

 1965年生まれ、女子大を卒業して就職せずに結婚した。「母が父を手伝っていて自分が鍵っ子だったから、家で待っているお母さんになりたくて」

 しかし、30歳を過ぎたころ、衆院補選に出て突如国会議員になった父の事務所の人手が足りず、秘書になった。ためたお金で手に職をつけようと、看護を学んだ。その時の恩師に誘われ、看護師として現場で働いた後看護協会に勤める。この間、離婚を経験した。

 こういった経歴もあり、ひとり親や弱い立場にある人の問題に関心があった。

いざ現場…飛び交う自民批判

 選挙区もなかった木村は、地…

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