「この先何本走れるか」 仕上げ早めた桐生、意味あるV
山口裕起
セイコーゴールデングランプリ陸上2020東京(日本陸連主催、朝日新聞など共催)が23日、新しくなった東京・国立競技場で男女20種目が行われ、有力選手がそろった男子100メートルは、桐生祥秀(日本生命)が10秒14で制した。2位はケンブリッジ飛鳥(ナイキ)で10秒16。山県亮太(セイコー)は予選落ちした。
思わず笑顔がこぼれた。男子100メートル決勝。フィニッシュラインが迫ってくると、桐生祥秀は優勝を確信する。残り数メートルのところで、りりしかった顔がほころんだ。「勝ちきることができて、うれしくなって」。歓声のない国立競技場で、誇らしげに人さし指を突き立てた。
ライバルたちが顔を合わせた今季初めてのレースは、スタートで小池祐貴が出遅れ、中盤に多田修平が失速。最後は桐生とケンブリッジ飛鳥の一騎打ちとなり、0秒02差で桐生がかわした。
10秒14の優勝タイムに満足はできないが、ライバルを押しのけて1位になることに意味があった。桐生は言っていた。「小学校の運動会の時からずっと1着にこだわってきた。それは今でも変わらない」。だからこそ、コロナ禍で練習場が2カ月近く使えなくても妥協はない。バーベルを購入して筋肉を鍛え、マスクをしたまま自宅周辺の路上を走り込んだ。
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