コロナワクチン、どれほど期待していいの?専門家に聞く
聞き手・後藤一也
新型コロナウイルスの予防ワクチンを優先的に接種する対象者について、政府の分科会は医療従事者に加え、感染すると重症化のリスクが高い高齢者や持病のある人にする方向で合意した。国内外で現在、いままでにない新しい技術を使ったワクチン開発が進むが、成功するかはまだわからない。ワクチンにどれほど期待すべきなのか。東京大医科学研究所の石井健教授(免疫学)に聞いた。
「普通はワクチン開発に早くても10年、平均して20年ぐらいかかる。ワクチンは、健康な人に投与するものなので、安全性が何よりも優先されるが、承認までの期間が短ければ短いほど、安全性も軽視される」と石井さんは指摘する。
優先接種を進めていくにしても「じっくりゆっくりが基本で、一気に導入すると予想しない副作用が相次いで起きるリスクがある」。拙速に進めないことが大切という。
過去には、外国で認められたワクチンを緊急輸入し、うまくいった例もある。1960年ごろに国内でポリオの感染が広がったときには、旧ソ連などの生ワクチンを大量に輸入。感染の拡大は一気におさまった。
一方、苦い経験となったのが…