広島)被服支廠で原爆詩朗読 市民団体など全棟保存求め

戦後75年特集

辻森尚仁

 終戦から75年を迎えた15日、広島市最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)では、市民団体「広島文学資料保全の会」(土屋時子代表)などが企画し、原爆・反戦詩を朗読する集いが開かれた。

 毎年こうした集いを続けており、今年は県が昨年12月、一部建物の解体方針を示した被服支廠を会場に選び、建物の全棟保存や利活用を訴えた。同市中区で35・3度を記録し、今年初の猛暑日となる中、市民ら約90人が参加。被爆体験をもとにした小説「夏の花」で知られる原民喜らの詩を市内の高校生らが朗読した。

 生後8カ月で被爆した同市佐伯区の板倉勝久さん(75)は、原爆投下直後の被服支廠を描いた原爆詩人・峠三吉の「倉庫の記録」を読み上げた。原爆投下翌日、親戚を捜しに西新町(現・中区土橋町付近)に向かった母に背負われ、入市被爆した。「被服支廠の前で峠の詩を読みながら、歴史の重みを感じた。被爆の記憶をこれからも伝えていきたい」と話した。(辻森尚仁)…

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