先輩 カッコよかったです、「伝えたい」が交わった2020年夏(奏でるコトバ、響くココロ)

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花咲徳栄高校

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 8月10日午前10時過ぎ。阪神甲子園球場に野球部員たちの力強い声が響いた。

 中止となった今年春の選抜高校野球大会に選ばれていた32校が1試合ずつ戦う「2020年甲子園高校野球交流試合」の最初のカード、大分商業と花咲徳栄の対戦が始まった。

 同じ時、埼玉県加須市にある花咲徳栄高校には88人の吹奏楽部員が集まっていた。遠く離れた甲子園の晴れ舞台に臨む野球部員に、応援演奏を届けるためだ。

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、広々とした練習場に、距離をとって88人が並ぶ。フルートは口元に手作りの飛沫(ひまつ)ガードをつけ、クラリネットやオーボエはベルに水滴受けをつけ、打楽器はマスクと手袋をしている。

 大きなスクリーンに試合の映像が映し出された。先攻は大分商業。花咲徳栄吹奏楽部は相手の応援曲を演奏し、エールを送った。

 試合開始から間もない午前10時10分。本来ならば夏の甲子園の開会式が行われるはずだったこの日、「みんなで夏の甲子園の大会歌を演奏しよう」と朝日新聞社が呼びかけた「みんなで『栄冠は君に輝く』」の演奏開始の時刻だ。吹奏楽部員たちは顧問の川口智子の指揮で「栄冠」を奏でた。

 花咲徳栄は序盤からチャンス…

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