周庭氏、活動停止でも逮捕の衝撃 中国が狙う市民の沈黙

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香港=益満雄一郎 広州=奥寺淳 北京=高田正幸 下司佳代子=ロンドン 太田成美

 香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで香港民主派の有力者が相次ぎ逮捕された事件で、香港警察は11日夜、民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏を保釈した。しかし、訴追される可能性は残り、「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏らの処遇も不明のまま。事件が仲間の活動家らに与える重圧は変わらない。中国は米欧などの批判を寄せ付けず、民主派の抑え込みを進める構えだ。

 周氏は保釈後、記者会見を開き、「国安法を利用した政治的弾圧だ」と批判。外国勢力と結託したとされる逮捕容疑について「どういう理由で私が逮捕されたのか(警察からは)聞いていない」と語った。

 今後は「国際社会と連携する活動には参加できないが、香港人の一人として香港の民主化運動や自由のために闘っていく」と語った。取り調べは非常に怖かったとも述べ、疲れた表情を浮かべた。

 一方、周氏と同じ10日に逮捕された黎氏ら「リンゴ日報」の関係者は拘束が続いている模様だ。

 リンゴ日報は11日の朝刊1面で「リンゴは絶対に踏ん張り続ける」との見出しを掲げ、「香港の報道の自由は崖っぷちにあるが、職責を果たす」との声明を掲載した。

 中国返還前の1995年、黎氏が香港の言論の自由を守ろうと立ち上げた同紙は、ほかの主要紙が中国資本を受け入れ、中国批判を控えるなかでも、その姿勢を変えなかった。

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この記事を書いた人
奥寺淳
編集委員|米中・国際関係担当
専門・関心分野
米中、日中、国際関係
高田正幸
台北支局長兼香港支局長
専門・関心分野
台湾、香港、中国、反社会的勢力