五輪の大役、依頼は突然に 中林美恵子さん、米国で経験

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聞き手・佐藤陽
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 情報番組のコメンテーターとしてお茶の間にもよく登場する早稲田大学教授の中林美恵子さん(59)。米国トランプ政権の現状や日米、米朝関係などについて、わかりやすい解説が人気だ。そこには米上院予算委員会の補佐官として実務を積んだ約10年間の経験が元にある。あまり知られていないが、その間に、ある世界的祭典で普通の日本人が経験できないことをしていた。さて、それは一体……。中林さんに聞いた。

本番1週間前の電話

 1993~2002年、アメリカ上院予算委員会の補佐官として働いていました。そんなある日、オフィスに突然アトランタ五輪の大会組織委員会から電話がありました。96年6月のことです。

 予算のことで何か問い合わせかなと思って電話に出ると、「7月19日に開幕するアトランタ五輪の聖火ランナーをやってくれないか」。「なぜ私が?」と驚きました。聞くと「98年に長野五輪があるので、日米の架け橋になれる人に走ってほしいから」とのこと。どうやら日本大使館に問い合わせたらしいのです。

 何と本番は、約1週間後の6月20日。体力に自信はないし、ほとんど練習する時間もありません。受話器を握ったまま迷いました。「でもこれを逃すと、もうこんな機会はない」。そう思い、その場で引き受けました。予算委員会の同僚に話すと、みんな喜んでくれました。そして「スパゲティとか炭水化物をたくさん摂(と)って体力をつけないと」とアドバイスされました。

リハーサルなしで走った15分

 本番当日。ワシントンDCの中心部「デュポンサークル」から日本大使館まで走りました。足は大丈夫だったのですが、液体ガスが入ったトーチが重たくて、右手と左手で何度も持ち替えました。おそらく走ったのは15分ぐらいだったのでしょうが、とても長く感じました。予算委員会の仲間たちが総出で応援に来てくれ、力になりました。

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 ここからが笑い話です。事前…

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