暗闇に響く浸水音「まずい」、何とか避難 最上川氾濫

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三宅範和 西田理人 上月英興 井上充昌 鷲田智憲
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 山形県内を襲った記録的な大雨から一夜明けた29日、5カ所で氾濫(はんらん)した最上川中流域を中心に、浸水などの被害が明らかになってきた。各地で河川から水があふれ、住宅地や農地を一面の泥に変えた。

 今回の大雨でけがをした人は2人。酒田市の90代女性が避難する際に転倒し、ひざの骨を折る重傷。寒河江市では、男性が避難時に側溝に転落して軽いけがをした。

 住宅への浸水被害について、29日午後、県内35市町村に取材したところ、床上・床下浸水があった住宅は22市町村で計約480棟に上った。うち少なくとも120棟は床上浸水だった。

 被害が大きいのは、町内の3カ所で最上川が氾濫した大石田町116棟(床上41棟、床下75棟)、村山市111棟など。29日朝に最上川が越水した大蔵村は32棟(床上8棟、床下24棟)の被害があったが、まだ全容を把握できていないという。河北町では少なくとも80棟に被害が出ている。ほかにも被害はあったが、詳細は「調査中」と答えた自治体があり、被害はさらに広がりそうだ。

 鉄道など交通機関への影響も続いた。JR東日本山形支店によると、29日朝に運転再開を予定していた山形新幹線は、河川の増水などにより再開が遅れ、午後1時ごろから山形―福島間でのみ運転を再開。山形―新庄間は終日運休になったが、30日始発から運転再開の見通し。奥羽線の米沢―山形間は正午ごろから、村山―新庄間は午後6時ごろから運転を再開した。

 東北電力によると、大雨による土砂崩れなどにより、河北町や大蔵村など9市町村でのべ2905戸が停電。29日午後7時現在も、大石田町の2戸で停電が続いている。(三宅範和、西田理人)

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 大雨で氾濫(はんらん)した最上川流域を29日午後、朝日新聞社機「あすか」から見た。山形県のほぼ全域を流れる最上川は、「県民の歌」のタイトルになるほど県民に親しまれている川だ。それが同じ川とは思えないほど、黄土色の太い濁流と化していた。

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 民謡「最上川舟唄」にも登場…

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