芝野虎丸名人への挑戦をかけた第45期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は27日、単独首位の井山裕太棋聖が、前名人の張栩九段を262手までで白番半目勝ちし、シリーズ7戦全勝とした。次の最終局に勝てば完全優勝=挑戦権獲得となる。ただ、2位の一力遼八段(6勝1敗)が星一つ差で追っており、挑戦者レースのゆくえは8月6日の最終一斉対局に持ち込まれる。

 7月ラウンド最後の本局は、2年前の名人戦七番勝負の組み合わせと同じ好カード。出場メンバー中、最多の18期連続リーグ在籍の張は、ここまで2勝4敗と苦戦。本局と8月最終局に連敗すればリーグ落ちとなる瀬戸際で、井山優勢の碁を終盤に入って形勢不明に持ち込んだが、わずかに足らなかった。終局は午後11時6分。両者とも考慮時間を使い切り、残り1分の秒読みが続く激戦だった。

 昨年12月開幕のリーグ戦は、残すところあと4局。8月6日に一斉に打たれ、先に全局を消化した河野臨九段を除く8人が臨む。首位井山の相手は林漢傑八段、2位一力は村川大介九段。林、村川ともリーグ残留争いの渦中におり、かたや優勝、かたや残留をかけたガチンコ勝負となる。

 リーグ出場9人のうち成績上位の6人が次期リーグにシードされる残留争いは、最終ラウンドまで脱落者が一人も決まらない大混戦になった。残留6枠のうち4枠は井山、一力、許家元八段(4勝3敗)、河野(4勝4敗)で埋まっており、残る2枠を林(3勝4敗)と張、羽根直樹碁聖、山下敬吾九段、村川(いずれも2勝5敗)の5人が争っている。

 張の次戦の相手は羽根。勝ったほうが残留、負けたほうが陥落の“鬼勝負”となる。