北朝鮮、制裁とコロナで二重苦 必需品の国産化に活路
ソウル=神谷毅
新型コロナウイルス流入を防ぐ国境封鎖を続ける北朝鮮が、経済難の長期化に対応するため食料生産の強化や化学工業の開発に力を入れている。農作物などの増産や生活必需品の国産化を進めつつ、中国やロシアの支援を受けて苦境を乗り切る考えのようだ。
「わが国の養鶏工場は20年ほど前に建設したもので立ち遅れている」。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は北朝鮮の南西部に建設中の光川養鶏工場(黄海北道黄州郡)を視察し、こう語った。朝鮮中央通信が23日、報じた。視察の日時には触れていない。工場は全国の養鶏工場のモデルとして、年間で数千トンの鶏肉、数千万個の卵を生産できるとしている。
正恩氏は昨年末、米朝関係が改善しないまま経済制裁が長期化することを念頭に「自力更生」を訴えた。養鶏工場の近代化を急ぐのは、制裁に加え、1月から続ける国境封鎖という「二重苦」を前に、食料確保を進める姿勢を国内に示したものといえそうだ。
脱北した北朝鮮の元高官によると、北朝鮮が田植えの時期に農村へ送る市民や軍人らの動員期間が、今年は例年より長かった。
水田の整備など食料確保に今…