赤れんがの倉庫が現代美術館に 設計者の思いは

有料記事

聞き手 編集委員・大西若人
[PR]

 青森県弘前市に今月、新たな公立現代美術館「弘前れんが倉庫美術館」がグランドオープンした。酒造工場だった古い建物を生かした改修デザインも注目されている。手がけたパリ在住の建築家の田根剛(40)は、「記憶の継承」や「延築」といった考え方を唱えている。

 芝生の上に、切り妻屋根をいただく赤れんがの建物が、シンプルかつ品よくたたずんでいる。屋根は淡く金色に輝く。中に入ると、歴史の蓄積を思わせる古い壁の展示室が、時にこぢんまり、時に吹き抜けを伴い展開する。これが誕生した中規模館の姿だ。

 元の建物は、明治・大正期に酒造工場として生まれた。「事業が失敗しても、市の将来に役立てば」という思いから、れんが造りが採用された。戦後はシードル(リンゴの発泡酒)の工場となり、その後倉庫に。近年、同市出身の美術家奈良美智の展覧会が開かれて評判となった。同市が買い取り、現代美術館に改修されることになった。

ここから続き

 改修の公募型プロポーザルに…

この記事は有料記事です。残り3419文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません