「1年後、希望の炎を」 池江璃花子、国立競技場に立つ
新型コロナウイルスの影響で来夏に延期となった東京オリンピック(五輪)の開会式1年前となった23日、東京・国立競技場で記念イベントが行われ、白血病からの復帰をめざす競泳女子・池江璃花子選手(20)が自らの境遇を重ねながら、世界に向けてメッセージを発信した。
「大きな目標が目の前から突然消えてしまったことは、アスリートたちにとって言葉にできないほどの喪失感だったと思います。私も、白血病という大きな病気をしたからよく分かります。思っていた未来が、一夜にして、別世界のように変わる。それは、とてもきつい経験でした」
本来なら24時間後に開会式があるはずだった国立競技場は無観客で、華美な演出もない。フィールドの中央で一人、池江選手は願いを込めて言った。「1年後、五輪やパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろう」
昨年2月に白血病と診断されたとき、東京五輪に出なくてよくなったと安堵(あんど)するほど重圧を感じていた。メッセージ後に流れた3分間の映像のなかでは、「でも、それが無くなって、自分はどうしようもなくこのスポーツが好きなんだと(アスリートたちは)心の底から思ったはず。私もそうだった」と明かした。
池江選手は2024年パリ五輪をめざし、5月から本格的な練習を再開している。世界のアスリートたちも、さまざまな制約がある中で練習を続けている。「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。私の場合、もう一度プールに戻りたい、その一心でつらい治療を乗り越えることができました」。そして、「1年後のきょう、この場所で、希望の炎が輝いていてほしいと思います」と結んだ。
東京五輪の大会組織委員会が23日、東京・国立競技場で開いたイベントで、競泳の池江璃花子さん(20)が語ったメッセージは次の通り。
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池江璃花子です。
今日は、一人のアスリートとし…