練馬在住32年でも「二流市民」か 再入国拒否の絶望

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笠原真
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 新型コロナウイルスの水際対策として、日本に住む外国人の再入国を原則禁止とする日本政府の措置に、見直しを求める声が上がっている。日本に生活基盤があり、家族がいたり仕事があったりする外国人でも、いったん出国すると戻ってこられなくなるためだ。「外国人であることを理由に再入国を拒むのは差別的だ」との指摘が出ている。(笠原真)

 九州に住むドイツ人の女性(44)は6月3日、母国で暮らす父を76歳で亡くした。持病が5月末から悪化し、急な訃報(ふほう)だった。

 「せめて父と直接お別れがしたい」。葬儀への参列を望み、在日ドイツ大使館に何度も問い合わせたが、「出国すると日本に帰れなくなるかもしれない。日本側のルールなのでどうしようもない」との説明だった。家族とも相談し、帰国は諦めた。

 葬儀にはテレビ電話を通じて「参列」。大学教員として働く夫(48)、小学生と大学生の息子2人と肩を寄せ合いながら画面を見つめたが、父の顔は見られなかった。日本で暮らして2年。「普段なら、すぐに帰国できるのに。父との別れがこんな形になるなんて想像もしなかった」

芥川龍之介の作品などを母国語に翻訳し「自分なりに日本に貢献してきた」という女性ですら、再入国拒否の苦難に直面。ある国立大学は「日本の競争力が失われる」と懸念を強めます。現場で何が起きているのでしょうか。

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