唇は今も熱く語る 注目再び、渡辺真知子の40年

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定塚遼
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 今年初めから、カネボウのCMがSNS上で反響を呼んだ。渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」(1980年)のアカペラバージョンが流れるこのCMは、ギャラクシー賞CM部門大賞も受賞した。「40年経ってこんなに反響があるなんて思いもよらなかった」と渡辺は語る。

 「ただただうまくなりたい」。シンガーとしての表現力を一途に追い求めた40年超だった。77年にデビューし、中島みゆき松任谷由実に続くニューミュージックの旗手と目された。歌番組などでの露出を避けるニューミュージック系ミュージシャンの常道に反して、「テレビに出るのは何の抵抗もなかった」と語る。

 「迷い道」「かもめが翔(と)んだ日」、そして「唇よ、熱く君を語れ」など、次々とヒットを飛ばした。だが、ヒット曲の呪縛にも苦しんだ。「求められるのは『迷い道』や『かもめが翔んだ日』のような曲ばかりになった」。80年代後半、バンドブームに押された。「すーっと潮が引いて自分だけ取り残された感覚。苦しかった」と明かす。顔は知られているので外にも出づらい。売れて生活水準も上がっていたから、同年代の友人とは話も合わなくなり、相談もできず「孤独で寂しかった」。

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