災害ごみが捨てられない 6時間半かけ出しに行ったのに

有料記事九州豪雨

松本江里加 神野勇人 大山稜 山崎毅朗
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 深刻な豪雨被害を受けた熊本県の被災地で、災害ごみがあふれかえっている。市や町が設けた仮置き場には、ごみを積んだ車が連日列をつくる。一方、被災者を支えてきたボランティアは、コロナ禍で思うような活動ができないでいる。

 球磨(くま)川沿いに商店が並ぶ熊本県人吉市の中心街。8日朝、店主らが腰をかがめて泥をかき出し、いすや棚を洗い流していた。テレビや鍋、ぬいぐるみが幅1メートルほどの歩道いっぱいに積み上げられている。車がフェンスに引っかかり、木くずが街灯に絡みついていた。

 人吉市上薩摩瀬町でクリーニング店を営む吉岡了子さん(67)は、店舗兼自宅の1階部分がほぼ浸水した。親族らの助けを借り、トラック3台分のごみを片付けた。7日に市指定の災害ごみ仮置き場に捨てに行ったところ、混雑で待たされたあげく、「受付時間を過ぎた」として捨てられなかった。家を出て戻るまでにかかった時間は6時間半。「まさか捨てられないなんて」

 八代(やつしろ)海に面した芦北(あしきた)町でも、災害ごみがあふれている。仮置き場に指定された港は約50メートル四方にわたり、畳や冷蔵庫、家具などで埋め尽くされた。町は容量の上限に達したとして、8日に受け入れを停止。だが、知らずにごみを運んできた住民の車が、次々に訪れてはUターンを繰り返した。タンスや家電を捨てに来た男性(52)は、近くの別の仮置き場は混雑がひどく、捨て場を探して右往左往したという。「遠くの置き場に行くしかない」と車を走らせた。

想定を上回った豪雨被害

 環境省は、水害や地震などで出る廃棄物の量を想定し、仮置き場や処理期間などを決めておく「災害廃棄物処理計画」をつくるよう自治体に求めている。

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 人吉市は今回、「想定を上回…

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