ポートマッコリー=小暮哲夫
傷が癒えたので、自然の中に帰ります――。オーストラリアの森林火災でやけどの手当てを受けたコアラたちの大半が、数カ月の治療をへて森に戻された。豪南東部ポートマッコリーにあるコアラの専門病院ではいま、残る3匹の世話が続いている。
同病院には昨年10月から今年2月にかけて、周辺地域で救出されたコアラ79匹が搬送された。このうち53匹が火災でやけどを負っていた。通常は1~2人で診察に当たるが、診察台2台に5人ずつの態勢で手当てをした。その後は、ユーカリの木々がある野外の「リハビリ病棟」で、世話を続けてきた。
これまでに37匹を森に戻した。病院で世話を続ける3匹のうちオスのグーラ(推定2歳)はお尻のやけどで運ばれてきたが、コアラがよくかかる性病のクラミジアに感染もしていた。やけどが癒え、クラミジアからも回復しつつあり、森に帰される予定だ。同病院のスー・アシュトン代表は「火災で救出されなければ、クラミジアで死んでいただろう」と話す。
一方、オスのバズ(推定10カ月)は両前脚の爪がやけどで根元から失われた。爪が元のようにならないと自然に戻すのは難しく、病院でずっと過ごすことになるかもしれない状況だ。
残りのコアラたちは救えなかった。やけどに脱水症状などが加わり、重症だったという。
豪州には各地にコアラを手当て…