長い休校の先にみえた家庭の限界と役割 市井紗耶香さん

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聞き手・田中聡子 聞き手・大牟田透
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 新型コロナウイルスによる長期休校でオンライン授業が注目された。再流行に備え、環境整備を求める声も強い。学校に行かない学びの形として、有効な選択肢なのか。

市井紗耶香さん 「ついイライラして自己嫌悪に」

 公立の高校、中学校、小学校、そして保育園に通う4人の子どもがいます。約3カ月の休校期間は、家が「学校」、私は「先生」でした。

 学校は基本的に紙ベースで、オンライン授業はほとんどありませんでした。授業動画の配信や、ダウンロードして利用する課題が少しあっただけです。うっかり配信時間を忘れていた時は、後からでも見られるというメリットを感じました。一方で、教科書や単元ごとに細分化された中から、必要な課題を自分でダウンロードしなければなりません。子どもにはとても無理。該当する箇所を探して、パソコンに課題用のファイルを作る作業は、私が担当しました。

 メディアで先進的な学校が紹介されるたびに、「うちは遅れているのではないか」という不安がありました。「せめて」と参考書を買いにいくと、近所の書店は品切れ。多くの家庭の焦りの象徴のように見えました。代わりに学校から出されたのは、家庭学習の時間割やたくさんのプリントの課題です。中学生と高校生の娘は自分でできますが、小2の息子はそうはいかない。課題を持ち帰るとすぐ、「これは○日にやる分」と付箋(ふせん)をはりました。問題文を理解させるところから、そばについていました。

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 何よりきつかったのは、まだ…

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