第1回やまぬ「ばかやろう」電話 憲法13条が問う日本型自粛

有料記事現場へ!「自粛と同調」

編集委員・豊秀一
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 「入居者9名がPCR検査『陽性』と判定されました」。4月25日、北砂ホームを運営する社会福祉法人「あそか会」がホームページで公表した。新型コロナウイルス感染の第一報。東京都の感染者の累計は4千人に迫っていた。

 26日、情報を知った地元の開業医から抗議電話があった。無言電話も始まった。ほぼ1時間おき、毎日10本は鳴った。6月末になくなるまで、数本続いた。4月29日、江東区が北砂ホームの入居者21人、職員4人の新たな感染を発表し、夕方のテレビのニュースで報じられた。

コロナ禍のなかでおきていることを「日本国憲法」のレンズを通すと、何が見えるのか。初回は、東京都江東区の特別養護老人ホーム「北砂(きたすな)ホーム」(入居定員100人)の経験から考えます。

 その日の夜11時40分、電話が鳴った。当直の職員が残した記録によると、年配と思われる男性の声がして、「責任者を出せ」と怒鳴られた。「不在」と答えると、「死者が出ているんだぞ。何を言っているんだ、ばかやろう」と切られた。数分後、同じ男性が警視庁の捜査員を名乗り再び電話。「死者が出ているんだろう。早く責任者を出せ」とまた怒鳴られた。

職員が自宅待機に、宅配便は届かず…

 当時、北砂ホームの現場はス…

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