記者1人の地方紙、コロナで廃刊 最終号に並べた写真は

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カシノ〈豪南東部〉=小暮哲夫
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 オーストラリアで6月、地方紙36紙がその歴史を終えた。新型コロナウイルスの感染拡大が、以前から厳しかった経営に追い打ちとなったのだ。19世紀から地域の姿を伝え続けてきたある地方紙の「最後の一日」を訪ねた。(カシノ〈豪南東部〉=小暮哲夫

町の騒動伝えて150年 歴史に幕

 シドニーから北に700キロ。ニューサウスウェールズ(NSW)州北部のカシノは、人口1万1千人の町だ。こぢんまりした商店街に、週刊紙「リッチモンドリバー・エクスプレス・エグザマイナー」の小さな事務所があった。

 ノートパソコンに向かっていたのは、スザンナ・フレイマーク編集長(58)。記者は彼女1人。取材、写真撮影、執筆、紙面記事のレイアウトまでこなす。

 訪れた6月22日は、24日発行の最終号に向けた最後の編集作業の日だった。パソコン画面をのぞくと、作業中の1面のイメージには「サンキュー」の見出しに数十の名前が並ぶ。同紙の取材範囲の地名だ。カシノを中心に半径50~90キロの地域の多くは、牛の牧草地が広がっている。

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 昼過ぎ、一人の女性が訪ねて…

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