拡大する写真・図版コロナの時代 パンデミックの序章㊥

 人類が半年前に知ったばかりのウイルスは、世界の1千万人以上に感染し、50万人を超える犠牲者を出している。災禍はどう始まり、どう広がっていったのか。感染の拡大が始まった中国・武漢を歩き、謎のウイルスの存在を捉えるまでの道筋や、ヒトヒト感染の認定に二の足を踏んだ中国の初期対応を検証する。連載「コロナの時代」の「パンデミックの序章」シリーズ第2回。

【動画】昨年末の中国・武漢。当時誰も知らなかったウイルスはどう広がっていったのか。世界的な感染爆発を防ぐことは出来なかったのか。パンデミックの序章を振り返る。

医師は防護服の着用を提案したが…

 中国政府の専門家グループが新型コロナウイルスの検出を明らかにしたのは、1月9日の朝のことだ。政府や専門家の次の課題は、そのウイルスが「ヒトからヒトに感染するのか」の判断だった。

 武漢市衛生健康委員会はこの段階で、「疑わしい現象は報告されていない」との見解を示していた。しかしその時、現場の医師からは違う見方も出ていた。

 8日、武漢大学人民病院の呼吸内科副主任、余昌平(53)は、別々の地域に暮らす患者から共通の症状が出ていることに気づいた。

 余は朝日新聞の取材に、「医師ならば誰もがヒトからヒトへの感染を疑う状況だった。私も心の中でそう思った」と証言する。

医師たちはヒトヒト感染に気づきましたが、政府の公表は遅れました。なぜでしょうか。その内幕を追いました。

 病院内では「感染予防策を強化…

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