日銀短観、景況感は低水準に リーマン以来11年ぶり

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渡辺淳基
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 今の景気はリーマン・ショック後の2009年以来となる11年ぶりの悪さで、急回復も見込みにくい。経営者らのそんな実感が、1日発表の日本銀行の6月の「短観」で示された。消費増税で進んだ景気悪化に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかける。

 短観は全国企業短期経済観測調査の略で約1万社に景況感などを聞いている。日銀が6月分の結果を発表し、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)はマイナス34。前回3月から26ポイント落ち、リーマン・ショック後の09年6月(マイナス48)以来の低い水準になった。

 DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた指数。今回の回答期間は5月28日から6月末で、全国に緊急事態宣言が出て外出自粛が広がった4~5月を踏まえた景況感が表れた。

 大企業・製造業のDI悪化は6四半期連続で、全16業種がマイナス圏に。感染拡大で輸出が急減した自動車が前回から55ポイント落ち、マイナス72になった。はん用機械、業務用機械はそれぞれ過去最低のマイナス26、同29に落ち込んだ。

 大企業・非製造業は前回より25ポイント低いマイナス17。悪化幅は比較できる1983年以降で最大だった。外出自粛による消費低迷や訪日客の急減、様々なイベントの休止が響いた。業種別では、宿泊・飲食サービスが32ポイント悪化のマイナス91、遊園地やゴルフ場などを含む対個人サービスが64ポイント悪化のマイナス70、交通機関など運輸・郵便が36ポイント悪化のマイナス43になった。巣ごもり需要などを取り込んだスーパーなど小売りは唯一9ポイント改善し、「良い」が「悪い」を上回るプラス2だった。

 3カ月後の先行きは、大企業の製造業と非製造業がそれぞれマイナス27と同14。6月よりそれぞれ7ポイント、3ポイントと小幅に改善した。しかし、回答数の半分を占める中小企業は先行きも悪化し、マイナス幅が広がっている。新型コロナの影響の長期化への不安を色濃く映す結果になった。渡辺淳基

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