米最高裁、中絶規制の州法認めず 保守派長官も「違憲」

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ニューヨーク=藤原学思
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 米連邦最高裁は29日、妊娠の人工中絶を行う医師に厳しい規制を課す南部ルイジアナ州の法律を5対4で違憲とする判決を言い渡した。最高裁は4年前にも、同様の法律を違憲と判断していたが、その時に「合憲」としていたロバーツ長官が「最高裁としての判例を尊重すべきだ」として「違憲」に回ったことで、先例が踏襲された。

 訴訟で争われたのは、中絶を行う医師が、30マイル(48キロ)以内にある医療機関を患者の入院用に確保することを義務づける規定。保守的な政治風土もあり、地元の医療機関の同意を得ることは難しく、同州で中絶手術ができるクリニックがほぼなくなってしまう、と批判を受けていた。

 最高裁は2016年、テキサス州法の同様の規制を5対3で違憲と判断した。ただ、多数派を構成した5人のうち1人が引退し、トランプ大統領が保守的な判事を後任に任命したため、判例が変更されるかどうか、注目が集まった。

 29日の判決で4人のリベラル派判事はルイジアナ州法がテキサス州法とほぼ同じ内容で、「中絶を求める女性へ過剰な負担を強いる」と判断。さらに、4年前の判決では反対意見にまわった保守派のロバーツ氏も「先例拘束力の原則」を理由に、「違憲」という結論を支持した。ロバーツ氏は意見で「以前の判決が間違っていると現在も信じているが、問題はその判決の正しさではなく、先例とするかどうかだ」と述べた。残る4人の保守派判事は「ルイジアナ州法は合憲だ」と反対意見を述べた。

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 ロバーツ氏は元々、保守派を…

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