暗礁乗り上げたリニア 静岡県とJR、水めぐる相互不信

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初見翔 矢吹孝文
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 品川(東京)―名古屋間を最速40分でつなぐJR東海リニア中央新幹線の開業が、目標としてきた2027年から遅れる公算が大きくなった。総事業費9兆円の巨大プロジェクトにブレーキをかけたのは、環境への悪影響を懸念する沿線自治体だ。具体的な開業時期はなお見通せず、JR東海は開業が遅れるほどリスクは増すことになる。

 静岡県川勝平太知事は26日、静岡県庁の玄関でJR東海の金子慎社長を出迎え、午後1時半から2人きりで約1時間20分会談した。やりとりはインターネットで生中継された。会談後、報道陣に答えた川勝知事は、県内の工事の6月中の開始を認めない考えを強調した。これがリニア新幹線の「27年開業」を掲げてきたJRへ、事実上の「延期通告」となった。

 リニア新幹線は静岡県内では北部の山中を8.9キロ横切る。この「静岡工区」を含む南アルプストンネル(約25キロ)は屈指の難工事とされるが、静岡工区では同意が得られず、計画から3年近く遅れている。金子社長はトンネル掘削に向けた準備工事に6月中に着手できなければ、「27年の開業は難しくなる」と、5月末以降、期限を切った形で開業延期の可能性に言及。トップ会談で一部でも同意を取り付けようと、打開の糸口を探ってきた。

JR東海と静岡県のトップ会談でも両者の溝は埋まりませんでした。記事の後半では、静岡での工事着工が難航している理由を探ります。

■工事現場、水源と重なる…

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