10万円給付、路上やネカフェ生活者は? 厚い住所の壁

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荒ちひろ 大山稜 豊岡亮
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 1人あたり10万円の特別定額給付金を支給するにあたり、安倍晋三首相は4月、「すべての国民に」と強調したが、いまだに申請もできない人たちがいる。住所が受給の要件となっていて、路上やネットカフェで暮らす人にとって壁になるからだ。総務省が示す方策も、十分な実効性があるものになっていない。

 総務省によると、今回の10万円は4月27日時点で、自治体の住民基本台帳に登録されている人が自治体に申請して受け取る。ただ、路上やネットカフェで暮らしていて登録上の住所地を離れていたり、そもそも登録がなかったりすると、必要な申請書をもらえない。

 どうやって10万円を渡すか。総務省は4月28日に都道府県などに対し、一時的な保護施設である自立支援センターやネットカフェも、管理者の同意を得て「住所として認められる場合もある」との事務連絡を出した。

 しかし、こうした運用が十分に機能しているわけではなさそうだ。

 昨夏の東京都の調査では、都内の路上生活者は少なくとも1037人とされたが、自立支援センターの定員は約400人にとどまる。センターを運営する特別区人事・厚生事務組合によると、3月末からほぼ満室が続いているという。

 またネットカフェで住民登録をしている例を都福祉保健局では把握していない。ネットカフェや漫画喫茶など全国約1千店舗が加盟する一般社団法人「日本複合カフェ協会」に聞くと、「加盟店舗では、住民登録のサービスを提供している実態はない」という。

 非加盟で都内を中心に約50店を運営するネットカフェ大手「マンボー」でも、住民登録ができるサービスを提供したことはなく、検討もしていないという。

 都内のある区の担当者は総務省の考えについて、「理想論のように思える。もっと具体的な策を示してもらわないと」と話す。

「二重給付排除できない」 自治体は難色

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 総務省の担当者は、リーマン…

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