米中、「リベンジ消費」で小売り急回復 ネット好調

有料記事

ニューヨーク=江渕崇 北京=福田直之
[PR]

 世界2大経済大国の米中で、個人消費が急回復している。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、経済が再開しているためで、「巣ごもり」で広がったネット販売も好調だ。それでも、コロナ前の水準はまだ遠く、感染「第2波」への懸念もくすぶる。

 米オレゴン州でトヨタ自動車系ディーラーを営むフィリップ・ドーレンさんは4月、販売台数が普段の35%減となり、従業員の多くを一時帰休させた。だが5月以降、想定を上回るペースで販売が戻り、値下げの必要もなくなった。

 「今は在庫不足が最大の問題です」。通常なら130台ある在庫が、いまは50台ほどしかなく、顧客の好みにこたえきれない。他社と在庫をやりくりして、しのいでいるという。

 米商務省が16日に発表した5月の小売り売上高(季節調整済み)は、前月比で17・7%も増加。比較可能な1992年以来、最大の伸びとなった。4月に14・7%減と最大の減少を記録した反動もあるが、市場予想(8%程度の増加)を大きく上回る回復ぶりだ。

写真・図版

 金額が大きい自動車・同部品が同44%増と全体を押し上げたほか、衣料・装飾品(188%増)、スポーツ用品・書店(88%増)などが目立って伸びた。

 コロナ禍でもともと需要が増えていたオンライン販売は、前月比では9%の伸びにとどまったが、前年同月比では30%も増加。米小売り最大手ウォルマートは、ネット販売が前年同期比で7割増のペースだ。

 3月半ば以降に全米に広がった外出・営業規制は、徐々に緩和された。携帯電話の位置データから、小売店への人出は前年の9割程度まで戻った、との報告もある。

 5月の失業率は13・3%と戦後最悪レベルが続いているが、米政府は1人最大1200ドル(約13万円)の給付金を配ったほか、失業保険も週600ドルを一律に上乗せした。「刺激策がエコノミストの予想を超えて効いた」(米アナリスト)とみられている。

 ただ、急回復しているとはいえ、5月の小売り売上高は前年同月と比べると依然6・1%も少ない。ここからの戻りは鈍る、との見方が強い。失業保険の上乗せも、米議会が延長を決めなければ7月末で切れる。政策効果は息切れしかねない。

 テキサスやフロリダなど早期…

この記事は有料記事です。残り1260文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません