教会の墓地には大きな溝が掘られ、何百もの死体が並べられた。まるで船倉に荷物を積むように――。
14世紀、欧州中をペストの災厄が覆う。イタリアのボッカチオは代表作『デカメロン』のなかで、感染症におかされたフィレンツェの街の惨状を、そう活写した。
翻って、新型コロナウイルスが世界中に蔓延(まんえん)する21世紀。海の向こうから届いた映像に、犠牲者を埋葬するため大地にうがたれた無数の穴が整然と列を成すのを見た。その現実はデカメロンの一節と、どことなく重なり合う。
感染症のゆりかご
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人類と疫病との付き合いは…
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