「奴隷制を連想、恥ずかしい」 米の人気バンドが改名

ニューヨーク=鵜飼啓
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 米国の人気カントリーグループ「レディ・アンテベラム」は11日、バンド名が奴隷制を連想させるとして「レディ A」に改名すると発表した。米国では白人警官が黒人男性を死なせた事件を機に人種差別に対する意識が高まっており、グループは「言葉の意味合いに思いが至らず、恥ずかしく思う」などとしている。

 「アンテベラム」は英語で「南北戦争(1861~65年)前の」という意味。特に戦争前の南部の文化との関連で使われる。この戦争では、奴隷制を維持しようとした南部の州が、廃止しようとした北部の州と戦った。「アンテベラム」には南部の文化を懐かしむ響きがあり、その中に奴隷制も含まれる、との受け止めがある。

 グループ名は、2006年に3人で結成した際、写真撮影で訪れた南部スタイルの古い家の美しさに感銘を受けて付けたという。だが、男性死亡事件への抗議運動の高まりで「黒人の人たちが日々直面してきた不正義や不平等に対し、目を開かされた」とし、グループ内や黒人の友人らとの議論を経て改名を決めたという。「遅きに失した、との批判には弁解できない」ともしている。

 レディ・アンテベラムは08年にリリースした「ニード・ユー・ナウ~いま君を愛してる」が大ヒット。11年のグラミー賞で、最優秀レコード賞や最優秀楽曲賞などを受賞した。

 米国では、男性死亡事件を受けて芸能や文化、スポーツなどさまざまな分野で人種差別的な表現などを見直す動きが出ている。動画ストリーミングサービスの「HBO Max」は、南北戦争時の南部を舞台にした1939年の映画「風と共に去りぬ」の配信を一時停止した。人気の自動車レース「NASCAR(ナスカー)」も10日、南北戦争で南部側が使った南軍旗の掲揚を禁止するとの声明を出した。(ニューヨーク=鵜飼啓

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