広島)「千人針」テーマ 被服支廠で撮影 新井卓さん
宮崎園子
戦時中、女性たちが布に一針ずつ赤い糸で玉結びをほどこし、出征する兵士のお守りとして贈った「千人針」。それをモチーフにした芸術作品を、川崎市の美術家新井卓さん(42)が制作中だ。6日、解体計画に揺れる被爆建物「旧陸軍被服支廠」(広島市南区)で映像の撮影が行われた。
新井さんは、19世紀に考案された世界で初めての実用的な写真技法「ダゲレオタイプ(銀板写真)」を採り入れた作品制作で知られ、木村伊兵衛写真賞も受賞。核実験や原発事故など、「核」をテーマにした作品に取り組んできた。ダゲレオタイプの写真は、1枚完成するのに数時間かかる肉体労働だという。
今回、旧陸軍被服支廠を舞台に千人針を女性が縫う様子を動画で撮影。これらの映像と、ダゲレオタイプの技法で撮った1千枚の千人針の玉の写真とを7月開幕のヨコハマトリエンナーレに出品予定で、同じ空間に展示するという。
被服支廠で千人針について語…