注目高まる種苗法改正 種が高騰? 国は開発者保護訴え

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高木真也 兼田徳幸
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 「このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます」。俳優の柴咲コウさんがツイッターで発信し、注目度が高まった法案がある。ブランド農産物の海外流出を防ぐとして、政府が今国会に提出している種苗(しゅびょう)法の改正案だ。どんな中身なのか。

 種苗とは文字どおり、植物の種や苗のこと。米や野菜などの新品種は国や自治体、民間企業などがそれぞれ開発している。かかったお金や手間に報いるよう開発者の権利である「育成者権」を保護するルールを定めたのが種苗法だ。

 ところが、高級ブドウのシャインマスカットなど、果物の国外流出が後を絶たない。2018年の平昌五輪では、カーリング女子日本代表の選手たちがハーフタイムに食べて話題になったイチゴが、日本から流出した品種を元に交配されたものだと指摘された。

 現行法では合法的に取得した種苗には育成者権が及ばないため、海外にも容易に持ち出せてしまう。この穴を埋めるため、農林水産省は昨春から有識者の検討会を開き、法改正案をまとめた。

海外流出防止や開発者保護が目的

 ポイントは二つ。一つは、開発者が新品種を登録する際、輸出国や栽培地域を指定できるようにし、それ以外への流通を規制することだ。これによって販売・流通の差し止めや損害賠償請求が可能になり、刑事罰の対象にもなる。もう一つは農家が次期作に備え、収穫物から種や苗を採る「自家増殖」の見直しだ。従来は原則自由だったが、誰が自家増殖をしているか把握できるよう開発者の許諾が要るようにした。対象はあくまでも登録品種で、主要作物の9割前後を占める一般品種は自家増殖しても問題ない。家庭菜園は規制の対象外だ。

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 ただ、法改正には懸念の声も…

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