拡大する写真・図版左からシモーヌ深雪、フランソワ・アルデンテ、そよ風さん。第407回ダイアモンズ・アー・フォーエバー「キース・ヘリング・ナイト」(協力:中村キース・ヘリング美術館)から=(C)Isao Haruki

 誰かにとっては無価値、でも別の誰かから見れば宝物。そんな「不要不急なもの」としての誇りを掲げ続けるエンターテイナーたちがいる。京都市左京区のクラブ「メトロ」で約30年続いてきたドラァグクイーン・パーティー「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」が29日、史上初めて配信版(専用サイトhttps://metro-kyoto.zaiko.io/e/DIAMOND-SHOW別ウインドウで開きます)で開催される。

 老若男女が体を揺らす人いきれの中には、観光客か留学生らしき外国人の姿も多い。ふとダンスミュージックがやみ、シャーリー・バッシーが歌う映画「ダイヤモンドは永遠に」の主題歌がかかれば、ショータイム開始の合図だ。

記事後半では、シモーヌ深雪さんに思いを聞いています。

拡大する写真・図版ドラァグクイーンのシモーヌ深雪。第407回ダイアモンズ・アー・フォーエバー「キース・ヘリング・ナイト」から=(C)Isao Haruki

 極彩色の照明を浴びて舞台に現れるのは、高いハイヒールに分厚いつけまつげのドラァグクイーンたち。赤や緑の巨大なウィッグを振り乱し、DJの操る音楽に合わせて迫真のリップシンクとダンスを見せつける。毎月最終金曜日、メトロのフロアは深夜まで熱気が抜けきらない。

 「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」の歴史は1980年後半にさかのぼる。京都市立芸術大学の学生を中心に結成され、当時国際的に活動を展開しつつあったパフォーマンス集団「ダムタイプ」の故・古橋悌二と山中透は、ニューヨークで経験したドラァグクイーン・パーティーに衝撃を受けた。

拡大する写真・図版左からアフリーダ・オー・ブラート、ショコラ・ド・ショコラ、そよ風さん。第407回ダイアモンズ・アー・フォーエバー「キース・ヘリング・ナイト」から=(C)Isao Haruki

 当時の日本では「ドラァグクイーン」という概念自体、まだ知られていなかった。帰国後、ニューヨーク流のドラァグクイーン・パーティーを関西でも開きたいと模索する中で2人が目にしたのが、大阪でレビューグループ「上海ラブシアター」を率いていたシモーヌ深雪(ふかゆき)のショーだった。

拡大する写真・図版DJ LaLa=©Tomoaki Hayakawa

「DIAMONDS ARE FOREVER presents DIAMOND SHOW」の配信は29日午後8時半~11時半。前売り1千円、当日1500円。配信終了後、72時間はアーカイブで視聴できる。

 「やった、と悌二と顔を見合わ…

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