介護現場の悲鳴、財務省の壁崩す 20万円の舞台裏 

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石川春菜 久永隆一
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 政府が27日に閣議決定した新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案に、医療、介護、障害の現場で働く人たちへの慰労金が盛り込まれた。感染者らに直接対応すると20万円、そうでない場合も5万円が配られる。これら三つの業界で事前に決められた報酬以外に政府が現金給付するのは極めて異例だ。リスクを抱えながら働く人たちの声を置き去りにしたままでは立ちゆかなくなるとの危機感が、政府の「岩盤」を突き動かした。

 厚生労働省は当初、感染者に対応した施設については優遇して補助する姿勢だった。医療機関向けの動きは比較的早く、4月18日から病院の収入となる「診療報酬」について、集中治療室(ICU)での治療は倍増するなどの手を打った。

「感染リスクは通勤と同じ」予算措置に慎重

 介護施設でも、加藤勝信厚労相が5月1日、感染者が療養を続ける施設などで危険手当を支払う場合には補助する考えを示した。

 だがその間も、医療や介護、障害者福祉の現場でいつどこで感染するか分からない状況で働き続ける人への手当てを求める声が強まっていた。業界の声に突き上げられた形で、厚労省内でも「抱えているリスクの大きさを評価すべきだ」(幹部)との立場に傾く。2次補正予算では、より広く慰労金を配る方向性を探り始めた。

 だが、予算配分を握る財務省の返事は冷たかった。「感染リスクという点では、通勤を続ける多くの人と同じで、際限がない」。患者に直接対応をしていない医療機関や介護施設などにまで慰労金の範囲を広げるのは、小売業などほかの業界とのバランスを考えると理屈が立たないとの立場だった。

■相次ぐ介護施設の集団感染…

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