福島)合唱コン中止でも 郡山五中の橋本厚子教諭の言葉
全国大会と東北支部大会が中止となった全日本合唱コンクール。最高賞の文部科学大臣賞を2年連続で受賞した郡山五中・合唱部顧問の橋本厚子教諭は厳しい決定を部員に伝えながらも、この1年余の成長をたたえた。コンクールを通じてのさらなる成長は途絶えたが、合唱の楽しさ、続ける大切さを21人に伝えた。
学校が再開した25日。約1カ月ぶりの給食を食べ終えた直後、部員たちは音楽室に集まった。
「とても残念ですが、全国大会の中止が先ほど発表になりました。合唱が新型コロナウイルス感染のクラスターになるなどが理由で練習ができない状態です」
教諭をじっと見つめる生徒。鼻をすすりうつむき涙ぐむ生徒。橋本教諭は部員たちとの歩みを振り返る。
「去年からみんなで話し合いながら一生懸命音楽を作ってきたよね。自分たちで作り上げたものを、自分たちの意思で歌うという醍醐(だいご)味も味わったね。今年はそれをみんなともっと進化させたいと、とても楽しみにしていたんです」
3月からの休校で合唱練習はほとんどできていない。昨年1位だった声楽アンサンブルコンテスト全国大会、銅賞だったNHK全国学校音楽コンクールに続く中止で真剣勝負の舞台がすべてなくなった。
「コンクールに出ることがすべてではありません。みんなで作り上げ、自分たちの音楽を表現できたからこそ去年のコンクールも楽しかったんだよね。みんなで練習してきたことは無駄ではありません。これからの生き方にもきっとプラスになると思うよ」
部員の一人が「悔しい」と絞り出すと、橋本教諭も同意した。
「悔しいね。悔しいけど仕方ない。でも今できることをみんなで一生懸命やっていこうよ」
休校で1年生の入部がまだ決まらない中、10人の3年生にはこう託した。
「コンクールがなくてもこのメンバーでできること、いい思い出を作っていこう。校長先生、教頭先生と相談しながら考えます。その中で3年生は『これが私たちが作った五中の音楽なんだよ』っていう伝統を2年生に伝えて下さい。2年生もしっかりそれを受け継いで下さい」