ぶら下がりで首相が言わなかった言葉は・・・

安倍龍太郎
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 検察庁法改正案の今国会での成立見送りを決めた後の18日の安倍晋三首相の記者対応で、印象的だったのは首相が「検察」という言葉を一度も口にしなかったことだ。

 首相は18日夕、今国会の成立断念の決定後、首相官邸で記者団の「ぶら下がり」取材に応えた。「検察庁法改正案について」と問う記者団に対し、首相は「公務員の定年延長法案については……」と切り出した上で「国民の皆様から様々な批判があった」などと説明。「今回の法案は、まさに公務員の定年延長の法案で、公務員制度の改革ということだ」とも述べた。

 一般の国家公務員の定年を65歳に引き上げる法案などと一本化して国会に提出しているために、首相はそう表現したとみられるが、三つの質問に応じたぶら下がりの間、国会審議で問題になった「検察庁法改正案」はおろか、「検察」という言葉すら一度も口にしなかった。

 首相の答弁手法を分析している法政大の上西充子教授は「明らかに意図的に話題をそらしている。検察庁法に注目が集まらないようにするための『ご飯論法』だ」と指摘する。

 「ご飯論法」とは「朝ごはんを食べたか」と聞かれ、パンを食べているのに「(コメの)ご飯は食べていない」と答え、ごまかす手法を指す。上西氏は「首相はあえて言及を避けることで、一本化した法案の中にある検察庁法改正案という『毒』を隠し込もうとしたのではないか」と分析する。(安倍龍太郎)

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