4月売上高、居酒屋激減 ハンバーガーは好調のワケ

若井琢水 加茂謙吾

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出の自粛が続いた4月の売上高で、外食チェーンの明暗が分かれた。持ち帰りや宅配への取り組みの差が出たようだ。

 悪影響が最も大きかったのは、居酒屋だった。多くの店で休業を迫られた。

 焼き鳥チェーンの鳥貴族の4月の既存店売上高は前年同月に比べて96・1%減った。一時はフランチャイズを含む約640店のすべてで臨時休業した。再開店を徐々に増やしつつあるが、客足の回復には時間がかかるとみている。

 居酒屋大手で「和民」などを営むワタミも92・5%減だった。

 定食やすしのチェーンは苦戦しつつ、持ち帰りの強化に商機を探る。

 定食屋の「大戸屋」は48・4%減ったが、持ち帰りに限ると5割増し。今後も需要が増えると見込み、持ち帰りメニューを5月16日から4品増やした。

 「チキンかあさん煮弁当」や「かぼちゃコロッケと鶏の竜田揚げ弁当」などだ。20日には冷凍食品の販売も始める。

 「くら寿司」も48・1%減だが、持ち帰りだけだと倍増した。新型コロナの影響が長びくことも見据え、宅配事業も検討しているという。

 持ち帰りや宅配への切り替えがうまくいったファストフードは健闘した。

 牛丼の吉野家は4・0%減で済んだ。ハンバーガーなどのチェーンは、売り上げをむしろ伸ばした。在宅勤務や休校で家にいることの多いファミリー層らの需要をつかんだ。

 既存店ベースの売上高をモスバーガーは3・7%、マクドナルドは6・5%、それぞれ増やした。

 ケンタッキーフライドチキンの伸びはさらに大きく20・6%増だ。店内での飲食は控えてもらい、営業時間を午後8時までに短縮した上での異例の伸び幅だ。

 売り上げのほぼ全ては持ち帰り。広報担当者は「クリスマスのイメージからの脱却を目指し、家族向けメニューに力を入れてきた」と話す。(若井琢水、加茂謙吾)

飲食業界の4月の売り上げ増減

飲食業界の4月の売り上げ増減

※前年同月比%、▼はマイナス

ケンタッキーフライドチキン 20.6

マクドナルド 6.5

モスバーガー 3.7

吉野家 ▼4.0

くら寿司 ▼48.1

大戸屋 ▼48・4

ワタミ ▼92.5

鳥貴族 ▼96.1

(既存店ベース。ワタミは「和民」以外の業態も含む)…

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