1万人規模の抗体検査、精度に課題 昨年の血液で陽性も
新型コロナウイルスの感染歴がわかる抗体検査について、厚生労働省は15日、6月に1万人規模で実施することを明らかにした。東京、大阪、宮城の住民を対象とすることで調整している。感染の広がりの実態を把握するねらいがあるが、検査の精度などに課題が残る。
現在、診断に使われているのはPCR検査と抗原検査で、体内にウイルスがあるかどうかを調べる。一方、抗体検査はウイルスに感染した後に体内にできるたんぱく質(抗体)を調べる。診断には向かないが、感染歴がわかる。厚労省は調査に偏りが出ないように、対象の選び方を検討している。
日本はPCRなどの検査数が海外に比べて少なく、感染の広がりの規模をつかむために抗体検査に期待する声もある。
厚労省はこの日、東京都と東北地方6県で4月下旬に採られた献血1千検体を調べた結果を公表。検査キットの性能を評価するねらいもあり、5社のキットを使って調べたところ、東京の500人で計3人(0・6%)、東北6県の500人で計2人(0・4%)の陽性が出たという。
キットの性能の確認のため、新型コロナがまだ発生していないとされる2019年1~3月に採られ、保存されていた500人の献血も調べた。その結果、2人が陽性と判定された。抗体検査では、実際には感染していないのに陽性と出る「偽陽性」が一定の割合で起こるとされる。
キットの精度に課題があるうえ、調査対象が少ないため、厚労省は専門家の意見も踏まえ、結果に対する評価は見送った。実態把握のためにはさらに規模を広げる必要があるとしている。感染後にできる抗体が体内でどれぐらい維持されるのか、どれぐらいの抗体があれば再感染を防げるのか、といったことも調べていくという。
一方、東京大などの研究チー…