職場で感染者、ネットに実名さらされ…どう対応すれば?

コロナQ&A

[PR]

コロナ法律相談 回答:友弘克幸弁護士

 新型コロナウイルスの感染拡大で、働き方や職場環境も大きく変わりました。心配なのは、こうした状況でのハラスメントや差別です。どう対応すれば良いか。記者が取材した事例などをもとに、専門家に尋ねました。(聞き手・山根久美子)

 Q 新型コロナウイルスの感染者が確認された施設に勤務しており、SNSで複数の施設従業員の実名や住所が「感染者特定」としてさらされています。どうしたら良いでしょうか。

 A 個人の私生活にかかわる情報をプライバシー情報といいます。私たちが安心して生活するため、個人の尊重や幸福追求権について定めた憲法13条で、プライバシー情報がみだりに開示または公表されない自由が保障されていると最高裁も判断しています。

 実名や住所、新型コロナに感染しているかどうかなど、プライバシー情報を無断でさらされた施設従業員は、書き込んだ人に情報の削除や慰謝料の支払いなどを請求できます。また書き込みが原因で従業員の通勤・就労や施設業務に支障が出る恐れが生じた場合、書き込んだ人は業務妨害罪として刑法上の罪に問われる可能性もあります。

 一方、書き込み行為で労働者は安心して働けなくなる恐れがあるため、施設には労働契約上の「職場環境配慮義務」に基づいた対応が求められます。例えば従業員の名札にフルネームを書かないなど第三者に個人情報をさらさない配慮や、相談体制の整備といった対策が考えられます。

 匿名性が高いSNSでは無責任な書き込みも見られます。被害者からプロバイダ責任制限法に基づいて書き込んだ人が特定されることもありますし、警察の捜査で特定されることもあります。安易な書き込みは絶対にやめるべきです。

    ◇

ともひろ・かつゆき 2004年弁護士登録。労働者の立場で解雇や残業代請求などの労働問題に取り組む。大阪労働者弁護団事務局長。

ハラスメントに関する相談窓口やQ&A

・ハラスメント悩み相談室(厚生労働省の委託事業)https://harasu-soudan.mhlw.go.jp/別ウインドウで開きます

・全国労働相談(全労協)0120・501・581

・なんでも労働相談ホットライン(連合)0120・154・052

・新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口(各地の労働局)

・新型コロナウイルスに関するQ&A(厚労省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html別ウインドウで開きます

・新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A(日本労働弁護団http://roudou-bengodan.org/covid_19/別ウインドウで開きます

・職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト(厚労省)https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617721.pdf別ウインドウで開きます

質問を募集しています

新型コロナウイルスに関する問題に、記者が専門家に取材してお答えします。ご質問はQcorona@asahi.comメールするにメールでお寄せください。

 ※Q&Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]