オンライン就活は好機? 手応え感じる地方の学生・企業

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原田達矢 川村さくら
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 新型コロナウイルスの影響で急速に広がっている就職活動のオンライン化は、実は地方の学生や企業にはチャンスなのかもしれない。説明会や採用面接が次々と中止になりオンラインに置き換わった現場をのぞいてみると、戸惑いつつも手応えを感じている学生や企業に出会えた。

「不公平だ」 動き出した地方学生

 パソコンの画面上に、メーカーやIT企業などが自社を紹介する映像と、それを見つめる複数の学生の顔が映し出された。学生は説明を聞きながらチャット機能で「御社で活躍する人に共通点はありますか?」「在宅ではどのように仕事されていますか?」といった質問を書き込み、企業から回答を得る。途中から視聴したり、切り上げたり、別の企業をのぞいたり。「入退室」は自由だ。

 4月25日、オンライン会議システム「Zoom」を使った合同企業説明会が4時間にわたって開かれた。北海道内に拠点を置く企業23社と、学生約700人が参加した。

 企画したのは、コロナ禍の就活に危機感を抱いた北海道の学生たちだ。

 就職説明会が相次いで中止になるなか、首都圏の企業はオンライン説明会を毎日のように開いて情報発信している。一方、道内の企業の動きは鈍く、道内での就職を希望する学生が得られる情報は少なかった。

 「オンラインを活用しているかどうかで、就職活動の機会が減ってしまうのは不公平だ」。学生と企業をつなぐ就活カフェ「13LABO」(札幌市)を運営する北海道大大学院修士1年の小川陽平さん(30)たちは、そう考え、道内各地の商工会議所にオンライン合同説明会への参加を呼びかけた。学生には、フェイスブックなどSNSや学生同士のつながりで参加者を募った。

 東海大札幌校4年の和田亮平さん(23)は、4月に入り面接や説明会が相次いで延期や中止となったため就活を立て直そうと参加した。「オンラインの方が気軽に質問できた。移動もないから時間を有効に使えた」と好感触だった。

 ただ、学生の不安は尽きない。北大4年の原田綾純(あすみ)さん(23)は国内のメーカーや金融業界をめざしている。「こんな状況でなければ、より多くの企業と出会えたと思う。働き始めてから『こんな良い企業あったか』と後で思ってしまうかもしれない」と心配する。

 こういった悩みを解消するためにも、小川さんは「今後もイベントを開催して、企業と学生をつなぐ場をつくっていきたい」と話す。5月29日には第2弾の合同説明会を開く予定だ。

人材確保 思わぬ効果

 今回の企画には、思わぬ効果もあった。参加した学生約700人のうち約100人が首都圏など道外の学生だったのだ。小川さんの想定を上回る人数だった。

記事の後半では、この春に就職した記者(23)自身が体感した就活の地方格差や、オンライン就活の可能性について、リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長にインタビューした内容を紹介します。

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