地下駐車場をICUに大改造 紛争に備える国の発想力

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ラマットガン=高野遼
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 中東イスラエルは、新型コロナウイルスの抑え込みに成功しつつある。対策の中核を担ったのが、同国最大の国立総合病院であるシェバ・メディカルセンター。その最前線である、新型コロナウイルス専門の集中治療室(ICU)に特別に許可を得て取材に入った。

 そこは「コントロールセンター(管制室)」という呼び名が似合う場所だった。部屋は全面ガラス張り。医師がヘッドホンを着け、モニターを見つめている。ガラス張りの向こう側には数十人の重症患者たちのベッドが並ぶ。

 「27番ベッドの様子を見てみましょう」。医師がパソコンを操作すると、フロアの隅に止まっていたロボットが動き出し、モニターに重症患者の姿が映し出された。

 ガラス張りの向こう側は「レッドゾーン」と呼ばれる。防護服姿の医師たちが動き回る。

 こちら側は「ブルーゾーン」。人の動線は完全に隔離され、空調も別系統。マスク着用だけで行動できる。今回、ブルーゾーンに限って医師の同伴で取材が許された。

 ICUへの入り口は、地下へと向かう階段の先にあった。

 エヤル・レシェム教授(渡航医学・熱帯病部長)に案内された先は、地下駐車場。「コロナ救命救急ユニット」と書かれた看板がある。「重症の感染者は、すべてここに集められています。地下駐車場をICUに改造したのです」

 進んでいくと、二つの扉が現れた。赤と青の貼り紙を見れば、意味は一目瞭然だ。「今回は、ブルーゾーンに入ります。赤い扉の向こうは、患者たちがいるレッドゾーン。いずれも陰圧室になっています」

 地図を見ると、6千平方メートルの駐車場がブルーとレッドに色分けされている。レッドゾーンには約100床のベッドが並ぶ。この地下駐車場はいま、イスラエル最大にして、最先端の治療拠点になっている。

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 「レッドゾーンで働くのは…

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