関電の監査役が堂々と講演「ブラックジョークか」

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加藤裕則
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 取締役の働きをチェックする監査役の団体、日本監査役協会は昨秋、全国会議を大阪で開いた。1200人ほどの参加者から「ブラックジョークか」との声が漏れた。

 「企業不祥事防止に向けた監査役等の役割」がテーマなのに、不祥事が発覚したばかりの関西電力の監査役、八嶋康博が登壇した。「思い切ってやって参りましたのでお手柔らかにお願いいたします」

 会議の1週間ほど前、関電会長だった八木誠らの金品受領が報道されていた。関電の第三者委員会によると、監査役はその1年前には概要を把握していた。燃料室長や副社長を経て監査役に就いた八嶋は、社長だった岩根茂樹に「報告が遅い」と不満を伝えた。金品受領をめぐって国税当局の調査を受けてから、7カ月がたっていた。

 しかし、八嶋ら監査役の対応もまた鈍かった。調査権を使って自ら調べることはせず、取締役会に報告するかどうかの判断を社長の岩根にゆだねた。社外監査役だった元検事総長の土肥孝治も「まずは社長、会長らが判断すること」。岩根は結局、取締役会に報告せず、監査役はそんな状況を放置した。

監査役は「残念賞的なポスト」?

 日本企業で不祥事が起きるたび、監査役の権限は強化されたが、不正は絶えない。2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠し事件では、画策した副社長が監査役になって隠蔽(いんぺい)を続けた。「閑散役」ともやゆされる監査役は、なぜ機能しないのか。

 金融庁が昨年末に開いた有識…

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