新型コロナウイルスで世界恐慌以来の雇用危機に陥った米国で、失業保険が過去に例のない「大盤振る舞い」となっている。従来の支払額に毎週600ドル(約6万5千円)が一律に加算され、平均的な働き手は就業時よりも収入が増えることになった。ただ、手厚い補償が「経済再開」の足かせになりかねないとの心配も出ている。
ニューヨーク(NY)州中部ユティカでギリシャ料理店を営むシメオン・ツペリスさんは3月、従業員のうち55人の一時帰休に踏み切った。新型コロナの感染拡大を防ぐための規制が強まり、営業を「持ち帰り」に絞ったからだ。
最近は一帯での感染が落ち着いており、NY州のクオモ知事は「経済再開」に向け、これから徐々に営業規制を緩める方針だ。ツペリスさんもレストラン部分の再開を計画する。
しかし、思わぬ壁が立ちはだかった。従業員たちが職場復帰をためらっているのだ。
大きな理由は、コロナ対策で手厚くなった失業保険だ。米議会とトランプ政権が3月末に決めた計2兆ドル(約220兆円)超の経済対策は、失業保険の受給期間を13週間延ばしたり、単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」も対象にしたりしたほか、各州が支給する額に一律600ドルを7月末まで積み増すことにした。
この上乗せ分だけでNY州の…
【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら