「テレ東の狂気」、コロナ禍でも健在 看板Pが語る

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聞き手・川村貴大
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレビ各局は従来通りの番組収録やロケが困難な状況に置かれている。テレビ東京で「モヤモヤさまぁ~ず2」「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」などを担当する伊藤隆行さんと、「ゴッドタン」などを手がける佐久間宣行さんという、同局を代表するプロデューサー2人に、新型コロナの影響下における番組作りの苦労や工夫、テレビの役割について聞いた。(聞き手・川村貴大

番組自体が「3密」構造 伊藤隆行プロデューサー

 ――現在、番組収録でどんな困難に直面している?

 伊藤隆行 一番きついのは、私が担当している番組だと「モヤモヤさまぁ~ず」「池の水ぜんぶ抜く大作戦」。「モヤさま」はオールロケ番組の極致みたいなところがあるので、タレントさんが街中に出て人が集まるところに行って、笑いという現象を起こす。それそのものが内容の番組ですよね。「池の水」は、地元の方にかなり多くのボランティアを募って、規模が大きければ100人近く人を集めて、生き物を捕獲したりゴミを拾ってキレイにしたりということをやっている。要は、番組が生み出しているのが、そもそも「3密」の構造の中にある企画だった。人と人とが接触し、会話をするからこそ生まれてくるようなものがあるので。それが「なんとかしてできる」というものでもなくて、まあできませんよね。そこをどういうふうにすれば企画のブランド、パッケージを成立させることができるのかっていうことを工夫して、「Zoom」のようなものを使ったり、リモート収録を使ったり。スタッフも含めて外に出ない努力をする。仮に打ち合わせをするにしてもリモートでやっていく。ただ、番組にとってはなかなか限界だなあと。「モヤさま」なんかは街に出られないので。場合によっては企画変更を余儀なくされる期間なのかなとは感じていますね。

 ――これまでの収録が難しい中で、どんな工夫を考えている?

 伊藤 「モヤさま」だと「モヤモヤ」っていう言葉は非常に汎用(はんよう)性が高いので、非常にモヤモヤしている今だからこそ、モヤモヤという言葉で新しい企画をさまぁ~ずと作ってみても良いのかなと思いますね。家でモヤモヤしている素人さんと絡んでも面白いと思います。「Zoom」のような今のテクノロジーを使って、「歩けないけどこうしました」という「今版のモヤさま」ですね。

テレ東ならではの制約が、生みの親

 テレビ東京は非常に制約が多い会社なんですね。他局さんよりお金なかったり人が少なかったり。でも、やっぱり制約こそ生みの親なので。制約が生む「狂気」と僕なんかは言ってますけど。企画を生み出すときに、じゃあこうしよう、歩けないならこうしよう、というところが、企画を作る者にとっては宝物のようなものなんですよね。

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 「狂気」というのは一つの例…

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