「学ぶ機会、奪わせない」苦学の校長、種売りの記憶胸に

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染田屋竜太
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 バングラデシュ南東部、コックスバザールの小さな私立学校の校長、ミザヌール・ラフマンさん(38)には、忘れられない記憶がある。日本では中学生にあたる頃、毎日のように、森で集めた野菜の種を市場で売り歩いた。「1日50バングラデシュ・タカ(約60円)の売り上げで文房具を買った」と言う。

 7人きょうだいの末っ子。貧しく、兄には「勉強などせずサウジアラビアに出稼ぎに行け」と言われたが、費用は自分で稼ぐと約束し、学び続けた。余裕のない毎日を「みじめ」とも感じたが、「学びたいという気持ちで、つらいことも耐えられた」。政府の奨学金で英語の修士号までとり、教師になった。

 2008年に自ら学校をつくったのは、「自分のような子どもを増やしたくない」という思いからだ。給料を少しずつためた資金で友人らと基金を立ち上げ、奨学金を出し、貧しい家庭の子は無償。下宿を併設し、遠方の子どもも通えるようにした。「お金を理由に子どもたちから学ぶ機会を奪っては絶対にいけない」とラフマンさんは力を込める。

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