ロッカー撤去で「密」対策、合唱は小声 苦心の学校再開

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長田寿夫 森岡航平 寺沢尚晃
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 新型コロナウイルスの感染拡大で休校していた学校に子どもたちが1日、再び通い始める。3密(密閉・密集・密接)を避けるため国や県が示す児童生徒の距離1メートルを確保できるか。先生の数は足りるのか。小学校を訪ねると、涙ぐましい創意工夫と努力が続いていた。(長田寿夫、森岡航平、寺沢尚晃)

 「合唱も芸術もスポーツもできないで教育と言えるのか」。太田市の清水聖義市長はため息をついた。

 学校再開に向けて県がまとめたガイドラインは、5月30日から適用された「警戒度2」の場合、児童生徒の距離を2メートル離し、最低でも1メートルの距離を確保することを求めている。最も低い「警戒度1」に引き下げ、通常登校を始める段階でも「1メートルを目安にできるだけ離す」としている。文科省も同様の対策を促す。それで「通常」かと清水市長は言いたげだ。

 太田市では、小学校は午前中のみの授業から、中学校は午前と午後のグループごとの登校・授業から、それぞれ段階的に再開する。小中学校とも6月第4週の22日から通常の授業に戻る予定だ。

 「3密にならないよう特別教室や体育館を教室に使うが、2~3の小学校はプレハブ教室を増築するしかない」。清水市長は、国が対策に必要な予算措置をしないとして不満を隠さない。「1~2メートル離せと言うばかり。お金を出さないとしたら国のやる気を疑う」

 3密を避けて教室を分散すれば、教員不足となる。清水市長が調べたところ、教員免許を持つ市職員が110人いた。再開後の学校に市職員を臨時教員として派遣できないかと一時は真剣に考えた。

 その後、小中学校に教員3100人を加配する政府の方針が報じられた。さらに市長の打診を受けた市教育委員会からも難色を示されたことで、最終的に臨時教員案は引っ込めた。ただ、前例のない事態に直面する自治体の戸惑いを象徴するような動きだった。

距離確保なら入りきらない教室

 太田市立太田小では、清掃業者が教室の除菌・抗菌作業に汗を流していた。机の間隔は前後1・5メートル、左右1・3メートル。目安よりゆったりと並んでいる。

 ただ、35人学級の5年2組は1メートルを確保できなかった。そこで教室後部に備え付けられ、児童のランドセルなどを収納するスチール製ロッカーを撤去した。前後1・05メートル、左右1・3メートルを何とかキープできた。

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