「まさに戦場状態」 救急医療の危機感、出始めた余波

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市野塊 杉浦奈実 笹川翔平 阿部彰芳 後藤一也 瀬川茂子
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 新型コロナウイルスの感染拡大が、救命救急センターの業務に影響を及ぼしている。新型コロナの重症者に対応するため行政が病院ごとの役割を割り振る動きも出始めた。ただ、本来対応してきた重篤な患者を救う「命の砦(とりで)」という役割を果たせなくなれば、助かる命が助からない事態にもつながる。医療現場には危機感が広がる。

 東京都多摩市にある日本医科大多摩永山病院は、2週間前から新型コロナウイルスの患者の受け入れを始めた。職員は約850人、病床405床。22日までに入院したのは11人だが、「病院内の雰囲気は一変し、まさに戦場状態だ」と中井章人院長は不安を口にする。

 院内の集中治療室(ICU)は高度治療室(HCU)と合わせて19床。新型コロナで入院した患者5人は重篤で集中治療を受けている。別の病気で入っている患者の病床を差し引けば、残りは5床ほど。同病院は救命救急センターがあり、今も脳卒中や心不全など本来の重篤患者の救急医療に対応する。中井院長は「救命救急センターの病床が圧迫されている。急患を受け入れる余裕がなくなるかもしれない」と話す。これ以上、新型コロナの患者が増えれば、失われる命が出てくるかもしれない。

 院内感染が起きれば、通常の医療も止まりかねない。中井院長は特に急患の受け入れ対応を担う救急医らを心配する。「救急医が感染したら3次救急の機能が停止する。地域のために絶対に止めてはいけない」

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