拝観停止相次ぐ大寺院、苦渋の決断 大仏は24時間配信

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岡田匠 大村治郎
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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、京都や奈良の大寺院が拝観を停止している。寺は開かれた「祈りの場」であり、拝観停止は苦渋の決断だった。一方で、不安な日々が続く今こそ、祈りを捧げてほしいと、インターネットに配信するなど工夫をこらす。

大仏の顔見られるような工夫も

 「奈良の大仏」で知られる東大寺奈良市)。24日朝8時半前、普段は通れない中門(ちゅうもん)が開けられた。大仏をまつるお堂に入れなくなり、中門の先の柵から大仏を拝める。大仏の顔が見られるように観相窓(かんそうまど)も開けた。通常は元日やお盆などに開ける窓だ。この対応は5月31日まで続く。

 毎朝お参りする市内の主婦、阿波谷(あわたに)陽子さん(51)は「修学旅行生や観光客がたくさん来ている時期で、さみしい。新型コロナが出たころには、こんなことになるとは思っていなかったから、ここまできたのかと思うと怖い。お堂の中に入れないけど、大仏さまは守ってくれていると思うし、早く終息してほしいと願うだけ。普通の生活がどれだけありがたかったか改めて感じる。東大寺がにぎやかになる普通の奈良に戻ってほしい」と話した。

 4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出され、寺は拝観のあり方を検討していた。この時期の拝観者は例年なら1日数千人に上るが、緊急事態宣言の後は数十人に激減している。

 森本公穣(こうじょう)庶務執事は「感染防止には寺を閉じることが一番だが、精神的に不安に感じる人が多い。その人たちの心のよりどころとして、何とか大仏さまを拝んでもらいたいという思いで議論してきた」と明かす。

 法隆寺奈良県斑鳩町)は5月6日まで、全伽藍(がらん)の拝観を停止するが、金堂にまつる本尊を拝めるように中門の扉を開け、中門の手前から参拝してもらう。

 薬師寺(奈良市)も25日~5月6日、境内の大部分の拝観を停止する。ただ本尊・薬師如来は拝めるようにする。

 興福寺(奈良市)は4月15日から中金堂などの拝観を中止した。一方で僧侶が毎日、東金堂でお経を唱え、終息を祈る。この間、東金堂の外から一緒に拝んでもらおうと扉を開けている。3月中旬、医学博士に相談して対策を検討したという。辻明俊(みょうしゅん)執事は「僧侶や職員の安全を守った上で、いかに仏さまとの縁を結んでもらうか考えた」と話す。

門は閉ざさず

 京都では、五重塔で有名な東寺(京都市南区)が22日から当面の間、境内の金堂、講堂、観智院、宝物館の拝観を停止した。毎月21日に1千店の露店が出る「弘法さん」の縁日も今月、中止になった。25日~5月25日に予定していた五重塔特別拝観も中止に。

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 「堂宇を閉ざすという判断に…

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