新型コロナウイルスの軽症患者とされた埼玉県の50代男性が自宅療養中に容体が急変し、21日に死亡したことを受け、同県の大野元裕知事は23日、血液中の酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」の配備を急ぎ、軽症者の経過観察をよりきめ細かくする考えを明らかにした。「濃度が下がった場合は病院に救急搬送する態勢を整える」という。県庁で記者団に答えた。
大野知事や県関係者によると、男性は同県白岡市で一人暮らしで、11日に38・6度の熱や味覚異常、せきを発症し、PCR検査で16日に感染がわかった。
感染判明後、県は男性を軽症と判断。入院先の病院が見つかるまで「自宅待機」とした。保健師が毎日電話で状況を確認していたが、発症から1週間以上経った20日に男性が「食欲がだいぶ落ちて熱がある」と話したため、21日に入院する予定だったという。
しかし、20日夜に容体が急変。近所に住む家族が男性と連絡が取れなくなったことで気づき、21日に病院に救急搬送されたが死亡が確認された。
大野知事は23日、「発症から1週間過ぎた患者が急変するケースはあまりない」とする専門家の意見に触れて、「(男性の)自宅療養はやむを得なかった」と説明。「自宅待機」とした県の判断に問題はなかったとの認識を示した。
ただ、軽症者には不安が広がりつつある。同県越谷市保健所では、23日朝に自宅待機者(同日夕現在で18人)に電話をすると、「いつ病院に入れるのか」「ホテルに入れないのか」などの声が相次いだ。
今後は自宅待機者に対する電話での聞き取りを、毎朝1回から、朝夕2回とするという。軽症者には緊急連絡先を案内しているが、渡辺智行保健総務課長は「電話ができないほど急激に症状が悪化した場合は大丈夫か、保健所にも患者にも不安はある。ホテルなどで、医師や看護師の目の届くところでケアするのが望ましい」と話した。(山田暢史、長谷川陽子、米沢信義)
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