あの舟盛りが食べられない ススキノの名店、コロナで幕

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榧場勇太
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 札幌・ススキノの人気居酒屋が4月10日に閉店した。ウニやホタテ、マグロなど約20種の刺し身を乗せた格安の舟盛りで知られたが、新型コロナウイルスの影響で客足が急減。薄利多売の経営スタイルは大打撃を受け、仕入れもままならなくなり、45年の歴史に幕を下ろした。

新型コロナ、薄利多売の経営直撃

 ススキノ交差点から徒歩1分、飲食店などが入る雑居ビルの7階。エレベーターを降りるとお面やメンコ、フィギュアがところ狭しと並ぶ。18日朝、居酒屋「てっちゃん」の経営者、阿部鉄男さん(71)は舟盛りに使う木製の台を段ボールにつめていた。

 「お客さんに喜んでもらいたい。驚いてもらいたい」という信念を貫いてきた。午前3時半に起きて卸売市場へ行き、ミニバンの後部座席がいっぱいになるほど魚介を仕入れる。朝から仕込みをして、その日のうちにすべて売り切ってきた。

 そんな阿部さんの心意気が詰まっていたのが、名物の1500円の舟盛りだ。40センチほどの台に約20種類の魚介を盛り付ける。地魚の刺し身に加え、ウニやホタテも乗る。利益は出ない。店を手伝う長女の佐藤ゆかこさん(39)に「お父さん、サービスしすぎ」ととがめられても、「いいんだ、いいんだ」と手を止めなかった。常連客に加え、評判を聞きつけた観光客の予約で、週末には約50席の店内が満席になった。

■大量キャンセル、冷蔵庫が魚…

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